静岡大学グリーン科学技術研究所

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静岡大学グリーン科学技術研究所 2013年4月に設立された静岡大学の新しい研究所です。

静岡大学グリーン科学技術研究所とは、地球資源やエネルギーの再生・利用、自然共生による循環型・低炭素社会実現のために、新たな環境・エネルギー・バイオ・化学分野の科学技術を創造する、基礎から応用までの出口を見据えたグリーン・イノベーションを推進するために2013年4月に設立された研究所です。

第5回 SU–CNU Joint Symposium 開催報告2026年9月11日、静岡県コンベンションアーツセンター「グランシップ」にて、静岡大学グリーン科学技術研究所(RIGST)と韓国・忠南大学校(Chungnam National ...
28/09/2026

第5回 SU–CNU Joint Symposium 開催報告

2026年9月11日、静岡県コンベンションアーツセンター「グランシップ」にて、静岡大学グリーン科学技術研究所(RIGST)と韓国・忠南大学校(Chungnam National University: CNU)が共催する「The 5th SU–CNU Joint Symposium」を開催しました。

本シンポジウムは、両大学の研究交流および若手研究者・学生の国際交流を目的として令和3年度にスタートし、今回で第5回を迎えました。今回は静岡での開催となり、化学・生物・材料・プロセス工学など幅広い研究分野から研究者・学生が参加しました。

今回のシンポジウムでは、CNU教員による招待講演、RIGST教員によるショートプレゼンテーションに加え、両大学の学生によるポスター発表を実施しました。特に今回は、CNUの学生が静岡を訪問してポスター発表を行う初めての機会となるとともに、RIGSTの教員全員が研究発表に参加する初めての試みとなりました。

また、新たな取り組みとしてポスター賞を設け、優れた研究発表を行った学生を表彰しました。研究発表やポスターセッションでは、研究成果について活発な質疑応答や意見交換が行われ、研究者・学生双方にとって有意義な交流の機会となりました。

今回のシンポジウムでは、研究交流にとどまらず、両大学の研究者間で具体的な共同研究を開始することも重要な目標としました。シンポジウム終了後の交流会においても、研究分野や立場を越えて交流が深まり、今後の共同研究につながる研究テーマや学生交流について意見を交わしました。

今回の交流を契機として、両大学の研究者間における具体的な共同研究や学生交流へのさらなる発展が期待されます。今後も静岡大学と忠南大学校は、これまで培ってきた交流実績を基盤として、研究・教育の両面における国際連携を一層深化させてまいります。

シンポジウムの概要はこちら
https://www.green.shizuoka.ac.jp/outreach/su-cnu/

#静岡大学 #グリーン科学技術研究所 #忠南大学校 #国際交流 #国際連携 #研究交流 #国際共同研究 #共同研究 #大学間交流 #学生交流 #若手研究者 #研究発表 #ポスター発表 #シンポジウム #国際シンポジウム #化学 #生物学 #材料科学 #プロセス工学 #研究活動

【プレスリリース】暗所適応したシアノバクテリアで光合成エネルギー伝達の再編成を解明-光化学系IIの著しい減少と、アンテナに長く残る励起エネルギーを捉える-【研究のポイント】● 暗所適応株dg211を用い、暗所で光合成装置と光エネルギーの流れ...
25/09/2026

【プレスリリース】
暗所適応したシアノバクテリアで光合成エネルギー伝達の再編成を解明
-光化学系IIの著しい減少と、アンテナに長く残る励起エネルギーを捉える-

【研究のポイント】

● 暗所適応株dg211を用い、暗所で光合成装置と光エネルギーの流れがどう変化するかを解析しました。
● 暗所で生育したdg211では、クロロフィルaやフィコビリソームが残る一方、β-カロテンは検出限界以下となり、光化学系II(PSII)が著しく減少しました。
● 時間分解蛍光解析から、PSII反応中心に由来する蛍光が消失する一方、光化学系I(PSI)に由来する蛍光は残ることが分かりました。
● フィコビリソームに励起エネルギーが長く残る状態が増加し、暗所では光合成のエネルギー伝達ネットワークが大きく再編成されることを明らかにしました。

【研究概要】

静岡大学大学院総合科学技術研究科の豊泉香乃(修士1年生)と長尾遼准教授らは、シアノバクテリア Leptolyngbya boryana(注1)の暗所適応株dg211(注2)を用い、暗所従属栄養条件で光合成装置と励起エネルギー伝達がどのように変化するかを調べました。光条件で生育した野生株(WT-light)とdg211(dg211-light)、および暗所で生育したdg211(dg211-dark)を比較し、タンパク質解析、色素分析、吸収分光、77 K定常蛍光、時間分解蛍光解析を組み合わせました。

解析の結果、dg211-darkではβ-カロテンが検出限界以下となる一方、クロロフィルaとフィコビリソームに由来する分光学的特徴は保たれていました。PSIIの中心タンパク質D1は著しく減少していましたが、PSIの中心タンパク質PsaA/Bは検出されました。さらに、PSII反応中心に由来する数十ナノ秒の蛍光が消失した一方で、PSIに由来する長波長蛍光は残っていました。また、687 nm付近に顕著なナノ秒蛍光が現れ、主としてフィコビリソームに励起エネルギーが長時間保持される状態に由来すると解釈されました。これらの結果は、暗所で光合成によるエネルギー変換が生育に必須でない条件では、光合成装置が一様に失われるのではなく、PSIIが選択的に強く減少し、光エネルギーの流れそのものが再編成されることを示しています。

なお、本研究成果は2026年9月9日に国際雑誌「The Journal of Physical Chemistry B」に掲載されました。

【研究者コメント】

静岡大学農学部 准教授・長尾 遼(ながお りょう)

光合成生物にとって、光は光合成を行うために欠かせません。一方、シアノバクテリアの中には、暗所でも有機物を利用して生育できるものがあります。本研究では、長期間の暗所培養によって得られた「暗所適応株」に着目し、光を使わない環境で光合成装置がどのように変化するのかを分光学的手法で調べました。光合成生物が環境に応じて光合成装置をどのように作り替えるのか、その柔軟性を理解する手がかりになると期待しています。

詳細は下記公式ページリンク先よりご確認ください。
https://www.green.shizuoka.ac.jp/information/20260917/

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【プレスリリース】古茶樹のゲノム解析により中世茶の伝播を検証する共同研究を開始-文理融合により日本茶の歴史を検証-静岡大学農学部 山下 寛人 助教の研究グループは、駒澤大学仏教学部禅学科 舘 隆志 准教授を研究代表者とする研究プロジェクト「...
24/09/2026

【プレスリリース】
古茶樹のゲノム解析により中世茶の伝播を検証する共同研究を開始
-文理融合により日本茶の歴史を検証-

静岡大学農学部 山下 寛人 助教の研究グループは、駒澤大学仏教学部禅学科 舘 隆志 准教授を研究代表者とする研究プロジェクト「中世茶の伝播と系統に関する研究 -古茶樹DNA解析による検証-」に、ゲノム解析担当として参画します。
本研究は、公益財団法人本庄八郎記念お茶財団の2026年度助成事業に採択され、本年8月より開始しています。

【研究のポイント】
・文献史料研究とゲノム解析研究に基づく文理融合による取り組みで、日本茶の歴史を検証
・全国各地の寺院に伝わる古茶樹を対象に調査

【研究概要】
本研究は、日本中世における茶の伝播と系統について、禅宗史・仏教史の文献史料研究と、現存する古茶樹のゲノム解析を組み合わせ、学際的に検証する取り組みです。奈良・平安期の伝来、鎌倉期の栄西による再伝来など、これまで文献史料を中心に論じられてきた茶文化の形成過程を、集団遺伝学の知見と接続することで、より実証的に明らかにすることを目指します。

解析にあたっては、駒澤大学・舘隆志准教授が禅宗史・仏教史研究を通じて蓄積してきた喫茶文化に関する文献学的知見と、本学研究グループによる茶樹の集団遺伝学的解析手法を組み合わせ、さらに入間市博物館(埼玉県)が進めてきた中世茶の再現研究の知見も合わせて、全国各地の寺院に伝わる古茶樹を中心に、史料上の記録と現存個体との対応関係を検討します。

【研究の意義】
本研究は特定の一地域・一寺院の茶を対象としたものではなく、中世の茶の栽培の記録がある日本各地の寺院に残る古茶樹を横断的に調査し、中世における茶の伝播経路を広域的に検証する文理融合の研究です。成果は、各地に伝わる茶の歴史的背景を学術的に裏づけるとともに、希少な国内の茶樹遺伝資源の保全にも資すると期待されます。

【研究者コメント 】
静岡大学農学部 助教・山下寛人(やましたひろと)
日本茶の歴史は、禅宗史・仏教史における喫茶文化が密接に関わっています。
本プロジェクトでは、文理融合研究で取り組むことで、日本茶文化の形成過程が明らかになることを期待しています。

詳しくは公式ページでご確認ください。
https://www.green.shizuoka.ac.jp/information/20260914/

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【プレスリリース】3Dプリント時のポロプロピレン変形を8割削減 2種の添加物で相乗効果、オンデマンド製造への応用に期待大阪工業大学(学長:井上 晋)機械工学科の 上辻 靖智 教授と静岡大学の 青木 憲治 准教授、東洋レヂン、日東電工の研究グ...
16/09/2026

【プレスリリース】
3Dプリント時のポロプロピレン変形を8割削減 2種の添加物で相乗効果、オンデマンド製造への応用に期待

大阪工業大学(学長:井上 晋)機械工学科の 上辻 靖智 教授と静岡大学の 青木 憲治 准教授、東洋レヂン、日東電工の研究グループは、ポリプロピレン(PP)※1 に2種類の添加物を組み合わせることで、3Dプリント時の変形を8割削減することに成功しました。

PPは軽くて優れた強度や耐熱性を持ち、自動車部品や家庭用品など身の回りに広く使われています。しかし、3Dプリントでは冷えて固まる際に大きく変形することが課題でした。本成果により、自動車部品の試作や小ロット生産など、オンデマンド製造への応用が期待できます。

【本件のポイント】
● PPに2種類の添加物を加えることで3Dプリント時の変形を8割削減
● 製造業で熱望される最終製品と同じPPでの試作や小ロット生産への応用に期待
● リサイクルが比較的容易なPPの用途の広がりにより、循環型社会の構築を後押し

実験とマルチスケール数値解析によるプリント後のそり低減の検証

PPは性能を向上させるため、さまざまな材料を添加することがあります。上辻教授らの研究グループは、安価な鉱物「タルク」※2 と高性能な植物由来の超微細繊維「セルロースナノファイバー(CNF)」※3 を同量混ぜることで、3Dプリント時の最大の課題「材料の反り(変形)」を81.8%減らすことに成功しました。タルクのみを混ぜた時の変形は31.5%減、CNFのみでは48.5%の減だったので、両者の組み合わせにより相乗効果を生み出しました。

CNFは植物由来のため環境負荷が低く、鋼鉄の5分の1の軽さでありながら5倍の強度を持つという特長があります。PPと組み合わせることで自動車であれば軽量化を可能にし、走行時のCO2排出量削減や燃費向上にも貢献します。その一方、高価であることから、安価なタルクを組み合わせてコストを抑えました。

3Dプリントでは一般的に植物由来の代替樹脂(PLAなど)が使われていますが、自動車産業や製造業の開発現場では最終製品と同じPPを使った試作や小ロット生産が熱望されていました。しかし、PPは結晶性プラスチックのため熱収縮が大きく、造形中の反りやはがれが実用化の最大の障壁となっていました。従来のPP部品は大量のエネルギーと高価な金型を必要とする「射出成形」が主流でしたが、3Dプリント(FFF方式)での精密造形が可能になれば、必要な時に必要な場所で必要な分だけ作る「オンデマンド製造」が実現します。また、試作や修理部品(補修部品)を現地で3Dプリントできるようになれば、余剰在庫の廃棄や長距離輸送に伴う環境負荷・サプライチェーンのリスクを大幅に減らすこともできます。

更にPPは材料として再利用することが比較的容易な熱可塑性樹脂であることから、本研究によりPPベースの複合材料の性能向上が実現すれば、「作って使って何度も再資源化する」循環型社会の構築の後押しにもつながります。

詳しくは公式ページでご確認ください
https://www.green.shizuoka.ac.jp/information/20260910/

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【プレスリリース】核酸結合タンパク質を探す新技術を開発 -糖代謝の鍵酵素が特殊な核酸構造に結合することを発見-【発表のポイント】● 核酸の特殊構造(G四重鎖:G4(注1))と相互作用するタンパク質を、光触媒(注2)反応を用いて幅広く探索する...
06/09/2026

【プレスリリース】
核酸結合タンパク質を探す新技術を開発
-糖代謝の鍵酵素が特殊な核酸構造に結合することを発見-

【発表のポイント】

● 核酸の特殊構造(G四重鎖:G4(注1))と相互作用するタンパク質を、光触媒(注2)反応を用いて幅広く探索する新しい技術、光触媒近接標識法(注3)を開発しました。
● この新技術をヒト細胞の核抽出液に適用した結果、糖代謝において重要な役割を担う酵素ヘキソキナーゼ1(HK1)(注4)がG4構造に選択的に結合することを発見しました。
● 本手法は高次構造を持つ核酸とタンパク質の複雑な相互作用ネットワークを幅広く解明する強力なツールとなり、核酸が関与する生命現象の理解や新たな治療標的の発見に貢献することが期待されます。

【概要】

DNAは二重鎖だけでなく、グアニンが豊富な領域では四本鎖の特殊な構造(G四重鎖:G4)をとります。G4はテロメアやがん遺伝子の領域に現れて遺伝子の働きを左右しますが、そこに結合するタンパク質の全体像は分かっていませんでした。

東北大学多元物質科学研究所の 鬼塚 和光 准教授、同大学学際科学フロンティア研究所の 佐藤 伸一 准教授(ディスティングイッシュトアソシエイトプロフェッサー)、静岡大学理学部の 大吉 崇文 准教授らの研究グループは、光触媒を組み込んだG4に光を当て、近くにあるタンパク質だけに目印を付ける新技術を開発しました。ヒト細胞の核抽出液に適用した結果、糖代謝の第一段階を担う酵素ヘキソキナーゼ1(HK1)が、二本鎖DNAではなくG4を選択的に認識し、強く結合することを発見しました。HK1が核酸の高次構造と直接結合することを示した報告例はこれまでになく、新しい発見です。本研究成果は、核酸が関与する生命現象の理解や新たな治療標的の発見に貢献することが期待されます。

本成果は、2026年8月27日(ロンドン時間)付けで、国際科学誌Communications Chemistryに掲載されました。

詳細は公式ウェブサイトよりご確認ください。
https://www.green.shizuoka.ac.jp/information/20260828/

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【プレスリリース】「複雑さ」を設計して、結晶の「動き」をプログラムする ”構造のゆらぎ”が導く 結晶学の常識を覆す新しい設計原理を解明高知工科大学の 樋野 優人さん(大学院博士後期課程3年)と 林 正太郎教授(理工学群)らの研究グループは、...
05/09/2026

【プレスリリース】
「複雑さ」を設計して、結晶の「動き」をプログラムする ”構造のゆらぎ”が導く 結晶学の常識を覆す新しい設計原理を解明

高知工科大学の 樋野 優人さん(大学院博士後期課程3年)と 林 正太郎教授(理工学群)らの研究グループは、東京科学大学の 横田 紘子教授(物質理工学院材料系)、静岡大学の 関 朋宏准教授(カーボンサイクル研究コア)らと共同で、一般的には「単純で規則正しい」ことが理想とされる結晶構造に、あえて「複雑さ」をつくり込むことで、その複雑さが熱によってほどけるプロセスを利用して結晶の動きを制御するという新しい材料設計原理を明らかにしました。

本研究は、これまでの材料設計がめざしてきた「単純化」という“王道”に対し、『結晶内部に、異なる分子環境を共存させる「複雑さ」を、どの程度つくり込むのか』という、まったく新しい設計軸(分子構造→構造的な複雑さを設計→分子集団の動きを制御→機能への変換)を導入するものです。

本成果は、2026年8月18日、ナノ・マイクロスケールの基礎研究から応用までを網羅する、材料科学分野において非常に高い評価を得ているドイツの国際学術誌「Small」に掲載されました。

【研究のポイント】

1.「複雑さ(high-Z′*1)」を意図的に設計:
剛直なアントラセン*2骨格に、回転して動くことのできる部分を組み込むことで、同じ分子でありながら、ひとつの結晶内に5種類の異なる「居場所(環境)」が共存する複雑な結晶構造を実現。このような構造をhigh-Z′(ハイ-ゼットプライム)結晶と呼ぶ。

2.熱による「構造のゆらぎ」が導く対称性の回復:
温度上昇に伴い、異なる環境にいた分子が徐々に動き出し(ゆらぎ)、やがて分子が協調して並び替わる「対称性回復*3」という特異な現象を解明。この変化により結晶は特定の方向へ急速に伸びる。

3.耐久性と再現性のある「プログラム可能」な動作:
50回の加熱・冷却サイクルを繰り返しても可逆的に、安定して動作することを確認。

詳しくは公式ページでご確認ください。
https://www.green.shizuoka.ac.jp/information/20260827/

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【プレスリリース】深海微生物・酵素から学ぶ難分解性バイオマスの分解戦略 -持続可能なバイオものづくりを拓く深海インスパイアード化学-1. 発表のポイント・これまで十分に注目されてこなかった、深海のセルロース分解微生物・酵素に関する研究を体系...
04/09/2026

【プレスリリース】深海微生物・酵素から学ぶ難分解性バイオマスの分解戦略 -持続可能なバイオものづくりを拓く深海インスパイアード化学-

1. 発表のポイント

・これまで十分に注目されてこなかった、深海のセルロース分解微生物・酵素に関する研究を体系的に整理
・深海微生物・酵素が、分解されにくいバイオマスを効率よく利用する仕組みに着目
・深海生物の優れた仕組みを、持続可能なものづくりに生かす「深海インスパイアード化学」の新たな方向性を提示

2.概要

国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 河村 知彦、以下「JAMSTEC」という。)生命地球科学研究部門の出口 茂 上席研究員らは、国立大学法人静岡大学(学長 日詰 一幸)農学部の中村 彰彦 教授と共同で、深海微生物・酵素が、分解されにくいバイオマス(難分解性バイオマス)を効率よく利用する仕組みに着目し、その知見を持続可能なものづくりへ生かす「深海インスパイアード化学」の新たな方向性を提示しました。

近年、地政学的リスクや原油価格の変動を背景に、石油に依存しないものづくりへの関心が一層高まっています。なかでもセルロース系バイオマスは、食料と競合しにくく、燃料や化学品、材料の原料となる再生可能資源として注目されています。しかし、セルロースは水に溶けない結晶性高分子であり、その効率的な分解・変換は依然として大きな課題です。

深海は、太陽光が届かず、生物が利用できる有機物が乏しい一方、低温・高圧でもある厳しい環境です。海洋表層や陸域から供給された有機物が深海へ沈降する過程では、分解されやすい成分が優先的に失われるため、深海に到達する有機物には難分解性成分が相対的に多く残ります。このような環境では、利用しにくい有機物を効率よく分解・利用する能力が、微生物の生存に重要であると考えられます。

研究チームは、深海に生息するセルロース分解微生物・酵素に関するこれまでの研究を体系的に整理し、深海微生物を、難分解性有機物を効率よく分解・利用するための戦略を進化させた生物システムとして位置づけました。さらに、その戦略を担う酵素の特徴として、セルラーゼを細胞表面に保持する仕組みや、複数の機能領域を備えた大型酵素などに注目しました。

これにより、これまで高圧や熱水環境など、深海の物理化学的条件を中心に展開されてきた「深海インスパイアード化学」を、深海生物が進化させた仕組みからものづくりの設計原理を学ぶ研究へと拡張しました。こうした視点は、新たな酵素の設計や、持続可能なバイオマス変換技術の開発につながることが期待されます。

本研究成果は、JSPS科研費(課題番号:JP23K14000)およびJST戦略的創造研究推進事業CREST(課題番号:JPMJCR21L4)の支援により得られた成果を含むものです。

なお、本研究成果は、日本化学会が発行する学術誌「Bulletin of the Chemical Society of Japan」の100周年記念企画の一環として、編集部からの招待を受けてまとめられ、2026年8月24日付でオンライン掲載されました。

詳しくは公式ページよりご確認ください。
https://www.green.shizuoka.ac.jp/information/20260825/

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02/09/2026

【プレスリリース】
天然のキチン結合タンパク質を人工進化させ、プラスチック表面認識タンパク質を開発
-駿河湾で採取したマイクロプラスチックの蛍光染色に成功-

【研究のポイント】

◼本来キチンを認識して結合するタンパク質「PfChBD2」を改変し、プラスチック表面を認識する性質を持たせました。
◼PETへの結合性を向上させ、キチンやセルロースへの結合を大幅に低減した変異体を取得しました。
◼駿河湾から採取したマイクロプラスチックを蛍光染色することに成功しました。
◼マイクロプラスチックの簡便な検出への応用が期待されます。

【研究概要】

静岡大学大学院自然科学系教育部バイオサイエンス専攻の橋野嘉仁(博士課程2年)、静岡大学農学部・グリーン科学技術研究所の中村彰彦教授、東海大学の広瀬慎美子教授(現所属:国立科学博物館)は共同で、本来キチン(注1)を認識するタンパク質「PfChBD2」を改変し、プラスチック表面を認識してマイクロプラスチック(注2)を蛍光染色できるタンパク質の開発に成功しました。

本研究では、PfChBD2の表面にランダムにアミノ酸変異を導入し、ファージディスプレイ法(注3)を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)に結合する変異体を選抜しました。最初の選抜では、野生型と比べてPET表面への最大結合量が約2倍となり、キチンへの結合が大きく低下した変異体を取得しました。さらに、キチン認識に重要なアミノ酸を追加で改変及び選抜することで、PETへの結合性を維持しながら、キチンやセルロース(注4)への結合を大幅に低減した複数の変異体を得ました。

なかでも「VFF」と名付けた変異体は、PETへの比較的高い結合性と、キチン・セルロースへの極めて低い結合性を示しました。また、VFF変異体はPETだけでなく、他のプラスチックにも結合を示しました。さらに、VFFと赤色蛍光タンパク質(注5)を融合させたタンパク質を用いることで、駿河湾から採取したポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンのマイクロプラスチックを蛍光染色できました。
本研究は、天然の生体高分子を認識するタンパク質の結合特性を、人工高分子であるプラスチックの認識へと改変できることを示したものです。

なお、本研究成果は、2026年8月17日に国際学術誌「ACS Synthetic Biology」に掲載されました。

詳細は下記公式ページよりご確認ください。
https://www.green.shizuoka.ac.jp/information/20260824/

#静岡大学 #グリーン科学技術研究所 #マイクロプラスチック #海洋プラスチック #駿河湾 #人工進化 #タンパク質工学 #バイオテクノロジー #環境科学 #研究成果 #論文掲載

【プレスリリース】植物の乾燥耐性を向上させる化合物の開発【発表のポイント】・植物に乾燥耐性を与える化合物を同定しました。・気孔のK+チャネルを阻害する分子標的化合物を同定しました。・気孔応答メカニズムを知るための分子ツールとして利用できます...
01/09/2026

【プレスリリース】
植物の乾燥耐性を向上させる化合物の開発

【発表のポイント】

・植物に乾燥耐性を与える化合物を同定しました。
・気孔のK+チャネルを阻害する分子標的化合物を同定しました。
・気孔応答メカニズムを知るための分子ツールとして利用できます。

【概要】

植物の葉にある気孔は、ガス交換や蒸散を担う一方、乾燥時には閉鎖して水分の損失を防ぐ性質を持ちます。気候変動対策として、農作物に乾燥耐性を付与する植物調節剤(バイオスティミュラント)の開発が求められています。

東北大学、九州大学、ミラノ大学(イタリア)、新潟薬科大学、アストロバイオロジーセンター、名古屋大学、理化学研究所、熊本大学、静岡大学、岡山大学、CSIC(スペイン)、ミュンスター大学(ドイツ)の共同研究グループは、気孔の開口を促すカリウムイオン(K+)チャネルの阻害剤NS5806を同定し、さらにその類縁化合物UA49の合成にも成功しました。NS5806/UA49を植物に噴霧すると気孔の開口抑制(閉鎖誘導)が起こり、乾燥耐性が付与されることが実証されました。さらに本化合物を用いた解析から、K+チャネルが環境応答に重要なCaシグナル(注1)の生成に関与している可能性が示唆されました。本成果は、持続可能な農産物生産に貢献することが期待されます。

本研究成果は、2026年7月27日(英国標準時)に科学誌Nature Communicationsに掲載されました。

なお本研究は、東北大学大学院工学研究科の佐藤奏音特任助教(現京都大学助教)、鈴木喬太大学院生(当時)、齋藤俊也学術研究員、筧太心大学院生(当時)、加藤恵技術職員、辻井雅助教、石丸泰寛准教授(現東京大学准教授)、魚住信之教授、九州大学大学院農学研究院の有澤美枝子教授、矢﨑雅菜大学院生(当時)、河合靖貴助教(当時)、ミラノ大学(イタリア)のCosta Alex 教授、Grenzi Matteo 研究員、Luoni Laura 研究員、新潟薬科大学の山口利男教授、井坂修久助教、アストロバイオロジーセンターの河野優特任研究員、名古屋大学の木下俊則教授、林優紀助教、理化学研究所環境資源科学研究センターの関原明チームディレクター、バシル・クーラム客員研究員(現ラホール経営科学大学准教授)、アズィズ・ファルハン国際プログラム・アソシエイト、熊本大学の檜垣匠教授(現東京大学教授)、上村明日香大学院生、静岡大学の轟泰司教授、竹内純准教授、岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域の村田芳行教授、宗正晋太郎准教授、Yin Huifei 大学院生(当時)、CSIC(スペイン)のRubio Francisco 教授、ミュンスター大学(ドイツ)のKudla Jörg 教授との共同研究で行われました。

詳しくは公式ページをご確認ください。
https://www.green.shizuoka.ac.jp/information/20260805/

【アウトリーチ】C²-FRONTSタスクフォース「グリーン循環エコノミー共創研究拠点の形成」キックオフミーティングを開催しましたC²-FRONTSタスクフォース「グリーン循環エコノミー共創研究拠点の形成」キックオフミーティングを開催しました...
22/07/2026

【アウトリーチ】
C²-FRONTSタスクフォース「グリーン循環エコノミー共創研究拠点の形成」キックオフミーティングを開催しましたC²-FRONTSタスクフォース「グリーン循環エコノミー共創研究拠点の形成」キックオフミーティングを開催しました

2026年6月30日(火)から7月1日(水)にかけて、静岡大学浜松キャンパスにおいて、C²-FRONTSタスクフォース「グリーン循環エコノミー共創研究拠点の形成」のキックオフミーティングを開催しました。

「グリーン循環エコノミー共創研究拠点の形成」は、東海・信州 国立大学等連携プラットフォーム(C²-FRONTS)におけるタスクフォースの一つとして、複数分野との協創によるグリーン循環エコノミー共創研究拠点の形成を目的に、2026年1月に開催された第5回東海・信州 国立大学等連携プラットフォーム(C²-FRONTS)懇談会において設立が了承されました。

今回のキックオフミーティングには、信州大学、三重大学、岐阜大学、名古屋大学、鈴鹿工業高等専門学校および静岡大学の研究者等が参加し、研究の紹介や共同研究の可能性について意見交換を行うとともに、タスクフォースの今後の進め方について議論しました。

今後は各大学において研究者への参加の呼びかけを進めながら、テーマごとに研究グループの形成を目指し、大学間の連携を一層深め、グリーン循環エコノミー共創研究拠点の形成に向けた活動を推進していきます。

グリーン科学技術研究所からは以下の研究者が参加しています。
■青木 憲治 准教授(カーボンエネルギー研究コア)
■木村 浩之 教授(グリーンエネルギー研究コア)
■二又 裕之 教授(グリーンエネルギー研究コア)
■渡部 綾 准教授(カーボンサイクル研究コア)

なお、第2回ミーティングは2026年11月から12月頃に三重大学で開催する予定です。

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住所

大谷836
Shizuoka-shi, Shizuoka
422-8529

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