05/09/2026
【プレスリリース】
「複雑さ」を設計して、結晶の「動き」をプログラムする ”構造のゆらぎ”が導く 結晶学の常識を覆す新しい設計原理を解明
高知工科大学の 樋野 優人さん(大学院博士後期課程3年)と 林 正太郎教授(理工学群)らの研究グループは、東京科学大学の 横田 紘子教授(物質理工学院材料系)、静岡大学の 関 朋宏准教授(カーボンサイクル研究コア)らと共同で、一般的には「単純で規則正しい」ことが理想とされる結晶構造に、あえて「複雑さ」をつくり込むことで、その複雑さが熱によってほどけるプロセスを利用して結晶の動きを制御するという新しい材料設計原理を明らかにしました。
本研究は、これまでの材料設計がめざしてきた「単純化」という“王道”に対し、『結晶内部に、異なる分子環境を共存させる「複雑さ」を、どの程度つくり込むのか』という、まったく新しい設計軸(分子構造→構造的な複雑さを設計→分子集団の動きを制御→機能への変換)を導入するものです。
本成果は、2026年8月18日、ナノ・マイクロスケールの基礎研究から応用までを網羅する、材料科学分野において非常に高い評価を得ているドイツの国際学術誌「Small」に掲載されました。
【研究のポイント】
1.「複雑さ(high-Z′*1)」を意図的に設計:
剛直なアントラセン*2骨格に、回転して動くことのできる部分を組み込むことで、同じ分子でありながら、ひとつの結晶内に5種類の異なる「居場所(環境)」が共存する複雑な結晶構造を実現。このような構造をhigh-Z′(ハイ-ゼットプライム)結晶と呼ぶ。
2.熱による「構造のゆらぎ」が導く対称性の回復:
温度上昇に伴い、異なる環境にいた分子が徐々に動き出し(ゆらぎ)、やがて分子が協調して並び替わる「対称性回復*3」という特異な現象を解明。この変化により結晶は特定の方向へ急速に伸びる。
3.耐久性と再現性のある「プログラム可能」な動作:
50回の加熱・冷却サイクルを繰り返しても可逆的に、安定して動作することを確認。
詳しくは公式ページでご確認ください。
https://www.green.shizuoka.ac.jp/information/20260827/
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