27/03/2026
https://bg.copernicus.org/articles/23/2119/2026/
熱帯泥炭地の海岸浸食と大規模崩壊が莫大な炭素を海洋へ放出
〜河川経由の1,000倍以上に達する新たな炭素流出経路を解明〜
掲載日:2026年3月27日
【ポイント】
〇熱帯泥炭地の海岸部において、海岸浸食と泥炭の大規模崩壊(PMMs)による粒子状有機炭素(POC)の海洋流出量を初めて定量化
〇これらの物理的劣化に伴う炭素流出量は、熱帯地域の一般的な河川経由の流出量と比較して、約295倍から1089倍という極めて高い値に達することを解明
〇海岸部の泥炭地劣化が、世界の海洋炭素収支においてこれまで見過ごされてきた重要な要素であることを示唆
【概要】
山口大学大学院創成科学研究科の香川拓輝氏、山本浩一教授らの研究グループは、インドネシアのブンカリス島を対象に、現地調査と衛星リモートセンシングを組み合わせた解析を行い、熱帯泥炭地の海岸線後退と地滑り的な大規模崩壊による炭素流出の実態を明らかにしました。
熱帯泥炭地は膨大な炭素を貯蔵する重要な「炭素の貯蔵庫」ですが、近年、開発や排水による劣化が深刻化しています。本研究では、海岸浸食と泥炭の大規模崩壊(PMMs)が連鎖するサイクルを特定し、そこから海洋へ放出される粒子状有機炭素(POC)の量を推定しました。その結果、特定の流域における年間炭素流出量は、従来の河川を通じた流出量を遥かに凌駕し、地球規模の炭素循環における新たな流出経路として無視できない規模であることを世界で初めて提示しました。
なお、本研究成果は、2026年3月27日に国際学術誌「Biogeosciences」にオンライン掲載されました。
Abstract. Peatlands serve as long-term carbon sinks and are distributed across subarctic, Arctic, and tropical regions. However, in tropical and permafrost-dominated coastal areas, coastal erosion and peat mass movement events (PMMs) have emerged as major contributors to peatland degradation. These....