30/03/2022
【 ARアーティストファイル2022 】
《 握手でばいばいばい 》
石田 愛莉
"祖母と私の関係を、祖母が過去に身につけていた衣類を使用し作品にしました。祖母が癌になり手術をしたことがきっかけで、いつか大切な人が居なくなってしまう怖さ、忘れてしまい忘れられてしまう怖さが現実味を帯びてきました。
幼い頃、祖母の隣を占領して編み物や縫い物をして遊ぶ日々を送っていました。祖母から教えて貰ったことが、私の制作のベースとなっています。
私は祖母のように強くて優しい人になりたい。
おばあちゃん、大好きだよ。ずっと大好きだよ。"
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2020年4月、石田さんは倉敷の大学から編入し秋田に来た。ちょうどコロナ禍に入った時期であり、外出制限や授業のほとんどはオンラインとなり見知らぬ地での生活と制作はとても困難な状況であったことがわかる。人とのコミュニケーションもままならない中、専攻での制作と活動を開始。1年に数回ある展示の機会の中で、元々行って来た服飾の素材を介した制作からの展開が始まる。学外での活動が存分に出来ない中、身近な素材感から表現を見出すように、制作を続けた。専攻の仲間の制作もきっと刺激になったであろう。箍を外し皆好き勝手何をやってもいいのだと。主体的に自身が何に取り組むべきかは、アーツ&ルーツ専攻で最も大切なところで、石田さんも自身の表現の元をしっかりと意識して深掘りしていたと思う。自然と。そして、自身のルーツを確かめるように、祖母との関係から今やりたいこと感じたことからの素直な表現にたどり着いた。そう、祖母との手紙のやり取り、祖母の服をそばに置きそれを作品にして独自のハートフルなコミュニケーションを生み出すことで、安らぎを得ていたようにも感じる。
衣服を解体し縫い重ねてつなげ形にして空間に配置する。様々な場所に移動し展示を繰り返しながら作品はどんどん大きくなっている。祖母との思いが形になっていくように、有機的に増殖する布は今を生きている証のような特別な作品となった。金沢美術工芸大学大学院に進学が決まり、新たな挑戦にエールを送りたい!
評者:村山修二郎