14/08/2026
📄【論文】椅子に3時間座ると酸素化が改善する!?
ICUに入室される呼吸不全患者さんのリハビリで、「座位」になってもらうことはよくあります。それを3時間継続することの効果を検証したランダム化比較試験(RCT)が最新のIntensive Care Medicineに掲載されました(無料でアクセス可能です)。
📖 Fossat G, Muller L, Seguin A, et al. Effects of out-of-bed armchair positioning on oxygenation in spontaneously breathing ICU patients receiving respiratory support: a randomized controlled trial. Intensive Care Med. 2026;52:1222-1234.
https://link.springer.com/article/10.1007/s00134-026-08453-y
✅ どんな研究?
フランス・オルレアン大学病院の単施設RCT。HFNC・NIV・挿管下PSVで呼吸補助を受けている自発呼吸下のICU患者284例を、「朝の血ガス直後から3時間、椅子に座る群」と「ベッドでセミファーラー位(30〜45°)を続ける群」にランダム化し、3時間前後のP/F比の変化を比較しました。約7割はHFNCの患者です。
✅ 結果
3時間後のP/Fは、椅子群で+13 mmHg上昇、ベッド群で−13 mmHg低下(群間差26 mmHg、p=0.002)。3時間後の実測値は241 vs 206 mmHgでした。重篤な有害事象はゼロ。移乗の54%はリフトなどによる受動移乗で、能動移乗と効果は変わりませんでした。(リフトによる受動移乗は現場スタッフの負担軽減のためにとても良さそう)
📊 Take home message
・低酸素は離床(座位)をする理由になりうる
・受動移乗でも効果は同じ(リフトで椅子に出すだけでよい)
・ただし軽微な有害事象は椅子群で多い(72% vs 49%)点には注意が必要。
・セミファーラー位を維持し続けることの代償にも目を向ける
VAP予防のためのセミファーラー位とすることは、現在の標準的なケアですが、長時間続けると患者は足側へずり落ち、腹部が圧迫され、背側の換気が落ちていきます。座位にすることでこれらのデメリットが解消されたのかもしれませんね。
聖路加ICUでもシッタン(Sittan:座位補助器具)を活用し、多職種で早期離床に取り組んでいます。
https://x.gd/coTzW
「椅子に座る」という一見地味なケアの価値を、可視化してくれた意義深い研究ですね。
聖路加ICU
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背面開放座位シッタン Sittanが、日本のパラマウントベッド株式会社で販売になって10年が経とうとしています。