29/07/2026
【長良川及び支川の水温の2年間にわたる集中観測から,河川の水温変動の特徴と温暖化対策のヒントが明らかに】
【研究のハイライト】
・本川では下流ほど気温と水温の結びつきが強くなった一方,支川の水温変動特性には水文地質条件と土地利用の違いが反映された。
・夏季の低流量条件は,河川水温の上昇と空間的な水温不均一性(水系内での水温の違い)を増大させました。
・一方,夏季の降雨による流量増加は河川水温を低下させ,河川ネットワーク全体の水温環境を均質化した。
・地下水涵養型の支川は安定した水温特性を示し,本川水温の変動を緩和していました。
・水田灌漑からの還元水は,夏季の低流量条件下における局所的な水温上昇と関連していた。
【研究内容】
2020年から2021年にかけて,木曽川水系長良川流域の本川および支川の54地点で河川水温を観測した。
これらの観測データに,高解像度気候データおよび分布型水文モデルを用いて推定した日平均気温(Ta)と河川流量(Q)を統合した。これにより,気温と水温の結びつき,支川が本川の水温に及ぼす影響,ならびに流量条件に応じた夏季の水温応答を分析した。
【新たな水文学的知見】
気温と水温の回帰分析から,本川では下流ほど両者の結びつきが強くなることが示され,水文過程および地下水による緩衝作用が下流方向に弱まることが示唆された。支川では,地下水の寄与や土地利用の違いに対応して,多様な水温特性が認められた。
地下水涵養型の支川は,本川の水温を低下させるとともに安定化させた。一方,水田灌漑からの還元水は,夏季の低流量条件下における局所的な水温上昇と関連していた。降雨による高流量条件では,河川水温が低下し,河川ネットワーク全体の水温が空間的に均質化した。これに対して,夏季の低流量・渇水条件では,特に下流域および農業の影響を受ける区間において,水温上昇と空間的な水温不均一性が増大した。
これらの応答は,気候,水文条件,地下水,農業用水利用が相互に作用しながら河川の水温レジームを形成していることを示している。本研究の成果は,地下水涵養型支川と農業の影響を受ける低地区間が果たす対照的な水温上の役割を明らかにすることにより,モンスーン地域の河川流域における気候変動適応および河川生態系管理に資するものである。
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