23/01/2025
[成果公開]
九州大学から提供を受けた試料を用い,日本大学工学部で行った研究成果が,日本電気化学会の英文誌Electrochemistryで採択され本日先行公開されました。
本研究はプロトン伝導型セラミックを用いたPCFCに生じる残留応力が,電解質のプロトン導電率に与える影響を定量的に明らかにするため実施しました。
試料としてPCFCにおいて広く用いられている20mol%イットリウム添加バリウムジルコネート(BZY20)を採用し,室温において窒化ホウ素を圧力媒体とした等方圧印加装置を用い180MPaまで加え,交流インピーダンス法を用いて試料の抵抗の変化を観察しました。
等方圧の印加により抵抗は低下した,すなわちプロトン導電率は増加し,圧力による導電率変化の指標として用いられる活性化体積は負の値を示しました。多くのイオン導電体において,等方圧が加わるとイオン導電率は低下,すなわち活性化体積は正の値が報告されておりますが,負の活性化体積はイオン導電体においては初めて報告されたものです。
これは,他のイオン導電体がかなり大きなサイズを持っているのに対し,プロトンは小さく,また,イオンの移動機構が異なるためだと予測されます。
PCFCの電解質は作動中は圧縮応力(圧力)を受けるため,プロトン導電率が良くなることも考えられましたが,既報論文の結果からはBZY系列の材料はより圧力が大きく,実際にPCFCが作動する環境下では活性化体積が正,すなわち圧力によりプロトン導電率が低下することが予想されており,実際のPCFCにおいては今回報告された負の活性化体積が良い影響を与える可能性は小さいかと考えております。
Electrochemistry, Article ID: 24-00124