01/05/2026
【研究室の活動】
ヤマハ社「120年以上前の博覧会に出品、黒漆塗・蒔絵が施された東京都港区指定文化財「日本楽器製造株式会社製初期グランドピアノ」の修理事業が完了~ 2026年5月1日、港区立郷土歴史館で展示再開 ~」
https://www.yamaha.com/ja/news_release/2026/26043001/
ヤマハ社、東京藝術大学大学院(文化財保存学 保存修復工芸研究室)、そして港区教育委員会/郷土歴史館のみなさまのご尽力に心から敬意を表します。当研究室は、科研「20世紀序盤の東アジアにおけるピアノ産業と文化」(24K00018)の一環として、この修理事業に参画してきました。上記サイトのなかで特筆すべきは次の1文です。「ピアノには過去にも修理が施された形跡がみられたものの、部品の交換が必要となる発音・演奏可能な状態に向けた修理は行わないこととしました。」
昨今国内各地で、「古い」ピアノが発見され、演奏できる状態へと修復される事例が相次いでいます。その魅力に抗しがたいことは充分に理解できますが、多くの消耗部品から構成されるピアノの場合、「修復」の過程でピアノ技術者は多くの選択を迫られ、結果として「別の楽器」、つまりそれまでとは異なる響きを生み出す可能性があります。今回、ヤマハ社と港区が現在の状態を未来に伝えるために最善を尽くされたことの意義は、そのような趨勢に鑑みて、たいへん大きいと言えます。今回の港区のモデルが広く知られ、産業遺産としての楽器の価値が適切に認められることを期待いたします。
ニュースリリース - ヤマハ株式会社