25/05/2021
附属農場の緑肥水田で実施された研究成果が論文になり公開されました。どうぞご覧ください!
https://doi.org/10.1080/00380768.2021.1927832
「早期の中干しは緑肥施用有機水田からの温室効果ガス発生を抑制する」(当真要・武知佑樹・井上文乃・中矢夏子・細谷和宏・山下陽一・阿立真崇・河野貴幸・上野秀人)
【和文要旨】
稲の有機栽培は安全で環境にやさしい栽培法として認知されている.しかし緑肥等の新鮮有機物を施用する場合,含まれる有機態炭素がメタン(CH4)の基質となり水稲生育期間中のCH4発生を増加させる.本研究では,長期的に有機栽培を行っている水田でCH4発生量と正味の温室効果ガス発生(NGHGE)を評価し,CH4発生とNGHGEを抑制する緑肥の早期すき込みあるいは早期中干しが水稲収量に与える影響を調査した.1年目は化学肥料を用いた慣行(CF)区と白クローバーを用いた有機栽培(GM)区を設け,CH4と亜酸化窒素発生量を測定すると共に炭素収支と収量を調べた.2年目はヘアリーベッチを用い1年目のGMと同様の時期にすき込むG区,1および3週間早くすき込むGE1およびGE3区,さらに中干しを1週間早く行うGED区を設け,1年目と同様な項目を調査を行った.1年目では,CFでは圃場の炭素は減少していたが,GM区では緑肥のすき込みにより増加していた.一方でGM区ではCH4発生量が多く温暖化促進の影響を及ぼしていた.2年目では,早期すき込みは水稲栽培前のCO2発生量の増加やCH4発生量の低下に影響しなかった.GE3区の玄米収量の低下は,3週間の早期緑肥すき込みが持続的な農業活動に相応しくないこと示していた.一方,早期中干しはCH4発生量を低下させ土壌炭素隔離やNGHGEの低下に寄与していた.これらの結果から,緑肥を用いた有機栽培水田では1週間程度の早期中干しが玄米収量を維持しつつ土壌炭素隔離と地球温暖化抑制が期待できる受け入れ可能な方法であることが明らかになった.
(2021). Early mid-season drainage can mitigate greenhouse gas emission from organic rice farming with green manure application. Soil Science and Plant Nutrition. Ahead of Print.