30/05/2026
5月26日に指揮部会が実施した大山健太郎アイリスグループ会長の特別講座の後、以下のようなご質問をいただきましたので、指揮専攻として回答を差し上げました。よい機会でもありますので多くの方に読んでいただけたらと思い、ここにご紹介いたします。
【ご質問】
「そもそもなぜこのようなイベントを貴学指揮専攻セクションでご主催されているのでしょうか?他校や他社だとアドミニストレーションやCSR部門、学長室・社長室などのセクションが取り仕切っている場合が多いのですが、貴学や指揮専攻のカリキュラム上でのポリシーがあるのでしょうか?なぜ「指揮専攻」が仕切るのか?そこに興味を持ちました。」
【回答】
東京音楽大学指揮専攻は主任教授 広上淳一のリーダーシップのもと運営されています。日頃からわたしたちの活動については「ユニークである」とか、「本当に面白い企画を作る」というような評価をいただくこともありますが、これはすべて広上教授のアタマの中から湧き出たアイデアを実現しているものです。広上教授は常日頃から「指揮者である前に、よき学生、よき社会人であって欲しい」と言い、指揮専攻は指揮者だけを育成する部門ではないことを公言しています。
「音楽家である前によき社会人であれ」という言葉は特にわたしたちだけのものではなく、使い古されたフレーズです。ただ、わたしたちは学生たちがよき社会人、もっと言えば、よき人になって欲しいと心から願っており、指揮専攻はそのために何ができるのかを常に考え、実践している組織であると言えます。
では何ができるのか - まずはいろいろな分野で活躍をされている方々に教えを乞う- これをプロジェクトとして組み立て、2023年春に開始しました。このプロジェクトは特にカリキュラムに明文化されているものではなく、指揮専攻が独自に考え、実践しているものです。
とは言え、わたしたちの専攻は東京音楽大学の一部であり、これらの活動も大学の予算下で運営されています。であるのであれば、招聘する講師のお話を学生たちだけに限定するのではなく、「社会に開かれた大学」という東京音楽大学の理念に基づき、広く一般に公開し、多くの皆さまに対話を共有していただきたいというのが指揮専攻の考えです。ご質問の中に《なぜ「指揮専攻」が仕切るのか?》とのご指摘がありました。オーケストラの指揮者だけでなく、社会のさまざまなコミュニティにおけるリーダーを育成していることを自負する指揮専攻として「そうすることが学生たちに有益と考えるから」というのが率直な回答になります。
最近、広上教授は「百折不撓」という言葉をよく使うようになりました。何度失敗しても信念を曲げない、という意味の言葉ですが、長い指揮者生活にあって得た心持ちだろうと考えます。まだ若い学生たちにこの言葉を送ることにどれだけのリアリティがあるかはわかりませんが、それでも身をもって「百折不撓」を実践していくことが大切であろうと考えています。引き続き、多くの皆さまとこのような時間を共有できればと願っています。
東京音楽大学指揮部会
文責 坂元勇仁(特任講師)