28/02/2026
本日,修士論文優秀者の藤田さんは,公認心理師受験のため,発表はありません。論文概要と,優秀賞受賞のお言葉をいただきましたのでご紹介します。
この度は,誠におめでとうございます。今後,ますますのご活躍をお祈りしております。
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【論文概要】
性的指向マイクロアグレッション (Sexual Orientation Microaggression; SOM) とは、日常生活において生じる些細な言動や状況のうち、行為者の意図の有無にかかわらず、性的指向に基づいて個人を軽視・侮辱する敵意的・否定的な表現を指す。例えば、「彼氏 (彼女) いるの?」といった異性愛を前提とする発言などである。SOMは反復的かつ曖昧な形で経験されるため、物事をネガティブに考え続ける反すうを介して、当事者の抑うつの増大や人生満足度の低下と関連することが示唆されている。本研究では、日本におけるシスジェンダーのLGBを対象に、反すうを介したSOMと精神的健康の関連を検討した。加えて、反すうと精神的健康との関連がLGBアイデンティティによって調整される可能性についても探索的に検討した。
分析の結果、SOMが反すうを介して抑うつと至る心理プロセスが部分的に支持された。一方、人生満足度については、反すうを介した負の経路に加え、反すうを介さない正の経路も認められ、SOMが精神的健康と関連する過程が必ずしも一様ではない可能性が示唆された。LGBアイデンティティの調整効果に関しては、いずれの下位側面も媒介過程全体を一貫して調整する要因とはならなかった。ただし、LGBに対するネガティブなイメージや感情は、反すうと抑うつとの関連を強める方向に作用する可能性が示された。一方で、アイデンティティの不確実性、肯定、中心性については、精神的健康との関連が一様ではなく、他の心理社会的要因や環境要因との相互作用の中で理解される必要性が示唆された。
総じて、本研究は、SOMが反すうを介して抑うつと関連する可能性を示した点に意義がある。また、性的指向に対する否定的感情やイメージが反すうと結びつく場合に抑うつリスクが高まりやすいという知見は、LGBの精神的健康支援において、反すうへの介入に加え、内面化されたスティグマへの働きかけを併せて検討する必要性を示唆するものである。
【一言】
この度は、修士論文に対し最優秀のご評価を賜り、誠にありがとうございます。事情により心理学フォーラムに出席することが叶わず、誠に申し訳ございません。簡素な説明ではございましたが、本研究を通して、マイクロアグレッションや性的マイノリティに対する心理的支援について、少しでも関心をお寄せいただけましたなら幸いです。
修士論文の執筆にあたっては、仮説の設定や調査協力者の募集など、多くの困難に直面しました。不安や焦りを感じる場面も少なくありませんでしたが、最後まで研究をやり遂げることができたのは、ともに励まし合いながら歩んできた同輩の存在、そして温かくご支援くださった先生方のお力添えのおかげです。この場をお借りして、研究の構想から実施、執筆に至るまで丁寧かつ親身にご指導くださった髙橋あすみ先生、ならびに多方面から貴重なご助言を賜りました諸先生方に、心より御礼申し上げます。
研究活動を通して、自分自身の関心や問題意識について理論的に検討する姿勢の重要性を学ぶと同時に、その実践の難しさを実感しました。振り返れば至らない点も多く思い当たりますが、それらも含めて得られた学びを大切に受け止め、今後も研鑽を重ねてまいります。改めまして、この度は誠にありがとうございました。