24/04/2026
【研究成果・共同プレスリリース】ミトコンドリアとメラノソームの接触がメラニン色素形成を制御
−メラニン色素形成を支える細胞内機構を解明−
<ポイント>
・ミトコンドリア※1とメラノソーム※2の接触を定量する新技術「MiMSBiT※3」を開発 ― 生細胞内のオルガネラ※4同士の接触を測定可能に
・色素をつくる細胞小器官メラノソームに、ミトコンドリアが接触しエネルギー(ATP※5)を供給していることを発見
・この接触が壊れるとメラノソームでのメラニン※6合成が低下することを発見 ― ミトコンドリア機能と色素形成が密接に関係する新原理を解明
<研究の概要>
学習院大学理学部生命科学科の椎葉一心助教、柳茂教授らの研究グループは、岡山理科大学、東京大学、金沢大学、東京都健康長寿医療センター、東京薬科大学などの共同研究チームとともに、細胞内におけるミトコンドリアとメラノソームの新たな関係について明らかにしました。
本研究ではまず、ミトコンドリアとメラノソームの接触を生きた細胞内でリアルタイムに定量できる新技術「MiMSBiT(Mitochondria–Melanosome contact reporter applying NanoBiT)」を開発しました。これにより、これまで計測が困難であったオルガネラ間コンタクトの変化を経時的に追跡し、接触の程度を定量的に評価することが可能となりました。この解析から、メラノソーム上に存在するSTIM1※7 と、ミトコンドリア外膜タンパク質 Mfn2(Mitofusin 2)※8が結合し、ミトコンドリアとメラノソームの接触を制御していることを見出しました。従来、メラニン合成は主に酵素活性や遺伝子発現の調節として理解されてきましたが、本研究は、オルガネラ間の物理的接触という新しい制御機構が色素形成に重要であることを示した点に新規性があります。さらに、この接触が破綻するとメラノソームの成熟※9が阻害され、メラニン合成が低下することを実証しました。
本成果は、ミトコンドリア機能と色素形成が密接に関連していることを示すものであり、白髪など老化に伴う色素変化の細胞学的理解を深める新たな基盤を提供します。今後、色素形成異常の分子機構解明や、老化研究、美容・医療分野への応用につながることが期待されます。
本研究成果は、2026年4月20日(英国時間)に国際学術誌「Nature Communications」に掲載されました。
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