小笠原一生 in 大阪大学・神経情報学教室

小笠原一生 in 大阪大学・神経情報学教室 大阪大学大学院医学系研究科健康スポーツ科学講座神経情報学教室の小笠原一生です

D3院生の肝付由希子さんの2本目の論文がアクセプトとなりました。この論文(Multifactorial Background of Acute Sports Injuries in Young Japanese Athletes—A Sem...
28/04/2026

D3院生の肝付由希子さんの2本目の論文がアクセプトとなりました。この論文(Multifactorial Background of Acute Sports Injuries in Young Japanese Athletes—A Semi-structured Interview Study)は、重篤なスポーツ外傷を負ったアスリート10名に対して半構造化インタビューをして得た膨大な語りデータをSCATを用いて分析したものです。阪大病院と神大病院、Fort Lewis College(アメリカ)との共同研究になります。長い時間をかけて丹念に語りの意味を洞察し、語りのニュアンスを可能かなぎり保持して英語にしていきました。2本目の雑誌で出会った査読者からのコメントが、さらにこの論文の良さを引き出してくれました。肝付さんはスポーツナースで、自身の臨床経験からスポーツ外傷を心理学の立場で研究したいとのことで阪大に来て、意欲的に仕事をこなしています。さらなる発展を期待しています!肝付さん、おめでとう!お疲れ様でした!原稿が公開となったらまた報告します。

今日のジャーナルクラブ担当は中国からの留学生のかさん。難しい論文にチャレンジしました。Mapping effective connectivity by virtually perturbing a surrogate brain.Luo ...
28/04/2026

今日のジャーナルクラブ担当は中国からの留学生のかさん。難しい論文にチャレンジしました。

Mapping effective connectivity by virtually perturbing a surrogate brain.
Luo et al.
Nature Methods volume 22, pages 1376–1385 (2025)
https://www.nature.com/articles/s41592-025-02654-x

この論文は、安静時のfMRIデータから訓練した人工ニューラルネットワーク(ANN)を“代理脳”として使い、そのモデル内で仮想刺激を行うことで、全脳の方向性・強度・興奮性/抑制性を含むeffective connectivity(EC)を推定するNeural Perturbational Inference(NPI)という方法論を提案したものです。

この研究の意義としては、従来は侵襲的刺激(例えば、頭蓋内に埋め込んだ電極による刺激など)や強いモデル仮定が必要だったEC推定を、非侵襲的・データ駆動型・全脳規模で実現しようとしている点です。

かさんは、足関節捻挫や、それが進行したChronic Ankle Instabilityが引き起こす脳の構造的、機能的な変容に興味をもって研究を進めており、その過程で、この論文を読むに至りました。スポーツ医学とは少し領域の違う論文ですが、彼の守備範囲を大きく広げてくれたと思います。(準備に疲弊してました、、、笑)かさん、おつかれ!

Neural Perturbational Inference is an approach for estimating effective connectivity, in which virtual perturbations to a surrogate brain allow gaining insights into human brain functions.

21/04/2026

今日のジャーナルクラブは近田先生担当

Decoding the brain: From neural representations to mechanistic models
Mackenzie Weygandt Mathis et al.
Cell, Volume 187, Issue 21, 2024, Pages 5814-5832
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0092867424009802?via%3Dihub

脳の中では、神経活動に外の世界の情報や体の状態が表現されている。研究者はその神経活動から、何を見ているか・どう動こうとしているか・何を話そうとしているかを読み取ろう(デコードしよう)としている。
そのために、線形モデル、ベイズ推定、深層学習、潜在変数モデルなどを使う。こうした方法は、視覚の再構成、運動の解読、発話支援BCIに役立っている。しかし今の多くのAIモデルは「当たる」けれど、脳が本当にどう動いているかの仕組みまでは十分わからない。なので、これからは予測できるだけでなく、因果的・仕組み的に説明できるモデルが必要だ!と提案している総説的な論文でした。

今日のジャーナルクラブでは以下の論文を読みました。Neural Signatures of Value Comparison in Human Cingulate Cortex during Decisions Requiring an E...
14/04/2026

今日のジャーナルクラブでは以下の論文を読みました。

Neural Signatures of Value Comparison in Human Cingulate Cortex during Decisions Requiring an Effort-Reward Trade-off
Miriam C. Klein-Flügge, Steven W. Kennerley, Karl Friston and Sven Bestmann
Journal of Neuroscience 28 September 2016, 36 (39) 10002-10015; https://doi.org/10.1523/JNEUROSCI.0292-16.2016

何かを選ぶという意思決定では、得られる報酬と、それに伴うコストを天秤に掛けて、報酬を最大化し、かつコストを最小化するように「うまくやる」ことが求められるのですが、ここでコストが、身体的な努力やエネルギー消費を伴う、いわゆる「運動コスト」の場合、単なる認知的なコストと比較して、異なる脳部位で報酬と運動コストの比較が行われているのか?という問題を問うた論文です。

結果として、身体運動の計画に関与する補足運動野と腹側前帯状回皮質を含む領域が、報酬と運動コストの比較に選択的に関与しており、先行研究で報告のあった、運動コストではないタイプのコストと報酬の比較をしていた腹内側前頭前野とは、異なる脳部位であったということがわかりました。

fMRIデータを実験変数で説明するために、実験課題がよく練られて設計されており、非常に勉強になりました。

私どもは、スポーツ外傷の発生過程で、スポーツでの競技的価値と運動コストが衝突し、妥当ではない意思決定が成されたときに、怪我のリスクが高まると睨んでおります。今回のような精緻に設計された生理学研究を、全身粗大運動の研究と接続することで、より説得力のあるスポーツ外傷メカニズムの解明につなげたいと考えています。

Integrating costs and benefits is crucial for optimal decision-making. Although much is known about decisions that involve outcome-related costs (e.g., delay, risk), many of our choices are attached to actions and require an evaluation of the associated motor costs. Yet how the brain incorporates mo...

院生の吉田夏希さんの論文が公開されました。この論文は、修了生の梅垣果歩さんから引き継いだ実験データに基づくもので、バレエシューズのソール部分の硬さを試験機を使って精密に計測し(そのため冶具も東大阪の専門の職人さんに作っていただいて)、その硬...
10/02/2026

院生の吉田夏希さんの論文が公開されました。この論文は、修了生の梅垣果歩さんから引き継いだ実験データに基づくもので、バレエシューズのソール部分の硬さを試験機を使って精密に計測し(そのため冶具も東大阪の専門の職人さんに作っていただいて)、その硬さが、バレエの着地時の床反力鉛直成分に影響するかを検討したものです。オープンアクセスです。梅垣さん、吉田さんおめでとう!

Introduction: It is well known that the pointe shoes are essential for ballet’s unique postural control and repetitive wear makes the pointe shoes vary in stiff...

今日のジャーナルクラブは小笠原担当。読んだ論文は以下Quantifying State-Dependent Control Properties of Brain Dynamics from Perturbation ResponsesYu...
10/02/2026

今日のジャーナルクラブは小笠原担当。読んだ論文は以下
Quantifying State-Dependent Control Properties of Brain Dynamics from Perturbation Responses
Yumi Shikauchi et al.
Journal of Neuroscience 4 February 2026, 46 (5) e0364252025; https://doi.org/10.1523/JNEUROSCI.0364-25.2025

運動や安静によって変動する脳状態を、TMSでの刺激直後に観察される63チャンネルのEEGデータのみから計算される可制御性グラミアン(Controlability Gramian)で特徴づける手法を提案する報告。TMSをインパルスとしての外部刺激(perturbation)とみなすことで、状態空間の時間ダイナミクスの式のパラメタを推定せずとも、可制御性グラミアンをEEGデータから直接計算したところが、数学的な限界を、実験的に回避しているようで興味深かったです。可制御性グラミアン(これは行列)の固有ベクトルは脳状態を遷移しやすい状態空間上の方向を意味して、対応する固有値は遷移の量を意味します。これらの特徴量は、運動に関連した脳状態や、安静時の脳状態をよく分離し、特に、固有ベクトルの方向情報は、脳状態の分離に非常に有利に貢献してました。

動作解析データも、3次元*マーカ数を次元数とみなすと、全身データではEEGほどに多次元化できるので、姿勢動揺の外部刺激をインパルスとみなすことで、全身の力学的な状態遷移を特徴づけるために、この脳の研究が活用できるのではないかと考えています。いま持っているデータで確認してみたいと思います。

とても勉強になりました。

https://www.jneurosci.org/content/46/5/e0364252025

The brain can be conceptualized as a control system facilitating transitions between states, such as from rest to motor activity. Applying network control theory to measurements of brain signals enables characterization of brain dynamics through control properties. However, most prior studies that h...

日本ハンドボール学会の学会誌(JJHR)の第14巻がJ-Stageにアップされましたので、お知らせいたします。
22/12/2025

日本ハンドボール学会の学会誌(JJHR)の第14巻がJ-Stageにアップされましたので、お知らせいたします。

日本ハンドボール学会が発行. フリーアクセス

[You can find the English version at the bottom of this page]院生の吉田夏希さんの論文がアクセプトされました。Title: Pointe shoe stiffness alters...
15/12/2025

[You can find the English version at the bottom of this page]
院生の吉田夏希さんの論文がアクセプトされました。

Title: Pointe shoe stiffness alters the vertical ground reaction force during single-leg drop-landing in female ballet dancers
Journal of Dance Medicine and Science

この論文は、先輩院生の梅垣果歩さんから実験データを受け継いだもので、梅垣さんはバレエシューズの物性(硬さ)を丁寧に計測するための系を立ち上げ、吉田さんは、シューズの硬さによって着地時の床反力が変化するかを解析して、このほど、アクセプトに結びつきました。二人の院生の頑張りが成果が形となりました。

ちなみに、吉田さんは理学療法士でダンサーとしても活動しており、先週は、地域の公民館で「理学療法士ダンサーが教える健康ダンス」の先生も務めてくれました。

論文がパブリッシュされたらまた報告します

The paper by our graduate student, Ms. Natsuki Yoshida, has been accepted for publication.

Title: Pointe shoe stiffness alters the vertical ground reaction force during single-leg drop-landing in female ballet dancers
Journal: Journal of Dance Medicine and Science

This study is based on experimental data originally collected by a senior graduate student, Ms. Kaho Umegaki. Ms. Umegaki established a robust experimental system to carefully measure the mechanical properties (stiffness) of ballet shoes, while Ms. Yoshida analyzed whether differences in shoe stiffness affect ground reaction forces during landing. Their combined efforts have now culminated in this successful acceptance, and the hard work of both graduate students has taken tangible form as a research outcome.

Ms. Yoshida is a licensed physical therapist and is also active as a dancer. Just last week, she served as an instructor at a local community center, teaching a class titled “Healthy Dance Taught by a Physical Therapist Dancer.”

We will provide another update once the paper is officially published.

この後期、ハンドボールの授業が屋内でできるのでキャットウォークにGoPro2台設置して俯瞰撮影したものを、毎時間Youtubeで学生に限定公開してます。最初は誰も見ないかと思いきや、じわじわと閲覧数が増えてきてます。後期も折り返しを迎え、ハ...
05/12/2025

この後期、ハンドボールの授業が屋内でできるのでキャットウォークにGoPro2台設置して俯瞰撮影したものを、毎時間Youtubeで学生に限定公開してます。最初は誰も見ないかと思いきや、じわじわと閲覧数が増えてきてます。後期も折り返しを迎え、ハンドボールらしいゲームができるようになって、自分たちのパフォーマンスに興味をもつ学生が増えてきたのかと思います。Polar verity sense + スポーツセンシング社のBPATで心拍数と加速度もリアルタイム可視化とフィードバックしてます。大学での体育授業が学生たちにとってより魅力的になるようにいろいろ工夫をしています😀

https://www.frontiersin.org/journals/sports-and-active-living/articles/10.3389/fspor.2025.1676448/fullこちらの論文に、当教室の修了生の鵜野...
05/12/2025

https://www.frontiersin.org/journals/sports-and-active-living/articles/10.3389/fspor.2025.1676448/full

こちらの論文に、当教室の修了生の鵜野先生の論文(https://doi.org/10.1016/j.jbiomech.2022.111056)がciteされました。この論文の主張はUno et al.とほぼおなじ。ただし前足部着地は足関節捻挫のリスクを高めるかもしれないという主張は議論がわかれるのではないか。私はこの足関節捻挫リスクに対する考えにはdisagree

IntroductionLower limb injuries commonly occur during sudden deceleration movements, where landing technique plays a critical role. The choice between forefo...

02/12/2025

本日のジャーナルクラブは近田先生担当。
New England Journal of Medicine AI に掲載されたOpenCapでマーカレスに計測した動作から、神経筋疾患依存の動作特徴量を判別できるかという論文。以下リンクは、biorxivに掲載されたpreprintです。目的や数値の正確さの許容レベルに応じて、マーカレスモーションキャプチャはこれからどんどん発展していくでしょうね。マーカベースで正確に計測しなければならないという先入観から、そろそろ離れなければならない。

25/11/2025

日本のスポーツ科学、体育学の査読者の募集!!

小笠原です。現在、Asian Journal of Kinesiology誌のエディターをしております。中国、韓国、オーストラリア、インドネシア、マレーシアの先生たちと一緒に取り組んでいます。この雑誌の査読を担当してくれる日本のスポーツ科学、体育学の研究者の先生が少ない状態がこの数年続いております。

査読を引き受けてもいいよ!という学術機関にお務めの先生、ご連絡お待ちしております。私の直接メールいただくか、Facebookのメッセンジャーを通じてご連絡ください。査読頻度は年に1回あるかないかくらいだと思います。国際誌の査読の経験がないけど、チャレンジしてみたいと考えている若い先生もぜひご連絡ください。サポートします。みんなでアジアのスポーツ科学のレベルを上げることができればと思います。

https://www.ajkinesiol.org/

住所

待兼山町1− 17
Toyonaka-shi, Osaka
5600043

電話番号

06−6850−6032

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